不動産売買手付金の領収書の収入印紙

不動産売買時の手付金領収書に収入印紙は必要か

不動産売買時の手付金の領収書については、国税庁の解釈によると、印紙を貼らなければならないとされています。収入印紙につきましては、印紙税の課税のことになりますので、税理士もしくは税務署にご確認ください
※法的に司法書士の業法範囲外のため、回答は致しかねますので、ご了承ください。

国税庁HP 手付金の受取書
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/19/30.htm

国税庁の解釈によると「手付け(てつけ)」とは、売買契約等の締結に当たり、これに付随してなされる手付契約に基づいて、当事者の一方から相手方に給付される金銭その他の有価物をいうと定義している。
そして印紙税法では、手付けも売上代金に含むと規定しているため(印紙税法別表第一 第17号)、売却代金の一部として、あらかじめ手付金、内入金等として受け取るものは、原則として売上代金の領収書として課税されることになる。
よって、印紙を貼らなければならない。

不動産売買の領収書と印紙税の関係

不動産を売却した際、その代金を受領した事実を証するため売主から買主へ交付されるいわゆる領収書は、印紙税法の別表第一 第17号に掲げるいわゆる17号文書「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」に該当し、印紙税が課税される。
したがって、記載金額が一定額を超える領収書を交付する場合には、原則として印紙を貼付しなければならない。
以下に関連法令等を紹介する。

印紙税法 別表第一 第17号「定義」欄

1 売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書とは、資産を譲渡し若しくは使用させること(当該資産に係る権利を設定することを含む。)又は役務を提供することによる対価(手付けを含み、金融商品取引法第2条第1項(定義)
に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるものの譲渡の対価、保険料その他政令で定めるものを除く。以下「売上代金」という。)として受け取る金銭又は有価証券の受取書をいい、次に掲げる受取書を含むものとする。
イ 当該受取書に記載されている受取金額の一部に売上代金が含まれている金銭又は有価証券の受取書及び当該受取金額の全部又は一部が売上代金であるかどうかが当該受取書の記載事項により明らかにされていない金銭又は有価証券の受取書
ロ 他人の事務の委託を受けた者(以下この欄において「受託者」という。)が当該委託をした者(以下この欄において「委託者」という。)に代わって売上代金を受け取る場合に作成する金銭又は有価証券の受取書(銀行その他の金融機関が作成する預貯金口座への振込金の受取書その他これに類するもので政令で定めるものを除く。ニにおいて同じ。)
ハ 受託者が委託者に代わって受け取る売上代金の全部又は一部に相当する金額を委託者が受託者から受け取る場合に作成する金銭又は有価証券の受取書
二 受託者が委託者に代わって支払う売上代金の全部又は一部に相当する金額を委託者から受け取る場合に作成する金銭又は有価証券の受取書

印紙税法 別表第一 第17号「課税標準及び税率」欄

以下を参照されたい。

国税庁HP No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm

印紙税法上の領収書とは

民法第486条には、「弁済をした者は弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる」という規定がある。この受取証書(受取書)がいわゆる領収書である。これを印紙税法では、受領事実を証明するために作成し、支払者に対して交付する証拠証書と解され、「受取書」「領収証」「レシート」「預り書」「お買上票」などタイトルが何であれ、作成の目的が金銭の受取事実を証明するものであれば、印紙税の課税対象となり得る(請求書や納品書に「代済」「相済」「了」などと記入されたものも含まれる)。

印紙税が非課税になる場合

17号文書であっても、記載された受取金額が5万円未満(※1)の場合や、営業に関しない場合は非課税となる(印紙税法別表第一 第17号)。
前者については、領収書の記載金額(受取金額)が5万円未満であれば非課税となる。なお、領収書に具体的な消費税額が明らかにされている場合は、受取金額に消費税額を含めない。
後者については、例えば、不動産業者が売主として領収書を交付する場合は営業に関するものとなるが、事業者でない一般の個人の売主が、自宅の土地建物を売却して領収書を交付する場合は、営業に関しないものとして非課税となる。つまり売主が一般の個人である場合は、原則として印紙を貼る必要がないということである。
(※1)平成26年3月31日以前に作成されたものは、受取金額3万円未満のものが非課税文書とされていた。
以下に、関連法令等を紹介する。

印紙税法 別表第一 第17号「非課税物件」欄

1 記載された受取金額が5万円未満の受取書
2 営業(会社以外の法人で、法令の規定又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることがで
きることとなっているものが、その出資者以外の者に対して行う事業を含み、当該出資者がその出資をした法
人に対して行う営業を除く。)に関しない受取書
3 有価証券又は第8号、第12号、第14号若しくは前号に掲げる文書に追記した受取書

印紙税の納税義務者

領収書の作成者が納税義務者となり、原則として、印紙税額に相当する印紙を領収書に貼り付ける方法で納税する(印紙税法第8条1項)。つまり課税対象となる領収書を作成する売主が納税義務者となるから、印紙を貼付して買主へ交付することになるため、税務署に確認されたい。
もし納税しなかった場合(領収書に印紙を貼付しなかった場合)でも、領収書として有効と考えられている。しかし納税義務者については、印紙税の脱税等の問題が生じ得る(印紙税法第20条1項、第22条1号、第24条)。

印紙税法 第8条1項

課税文書の作成者は、次条から第12条までの規定の適用を受ける場合を除き、当該課税文書に課されるべき印紙税に相当する金額の印紙(以下「相当印紙」という。)を、当該課税文書の作成の時までに、当該課税文書にはり付ける方法により、印紙税を納付しなければならない。

印紙税法 第20条第1項

第8条第1項の規定により印紙税を納付すべき課税文書の作成者が同項の規定により納付すべき印紙税を当該課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、当該印紙税の納税地の所轄税務署長は、当該課税文書の作成者から、当該納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額に相当する過怠税を徴収する。

印紙税法 第22条第1号

次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
①第8条第1項の規定による相当印紙のはり付けをしなかった者

印紙税法 第24条

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前三条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して当該各条の罰金刑を科する。

印紙には消印すべし

課税文書に印紙を貼付した場合は、その文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければならない(印紙税法第8条2項)。消印は、印紙の再使用を防止するのが目的であるから、当該領収書に押印した印で消印する必要はなく、氏名・名称等を表示した日付印、役職名・名称などを表示したゴム印のようなものでも差し支えなく(印紙税法基本通達第65条)、署名でも良い(印紙税施行令第5条)。

消印する者は領収書の作成者だけに限定されず、その代理人で良く、法人であれば代表者のほかその他の従業員が自身の印または署名をすれば足りる(同条)。

印紙は判明に消さなければならないから、誰が消印したか明らかとなる程度に押印または署名しなければならない。
署名については、自筆により、氏名を表すものでも通称・商号のようなものでも差し支えない。ただし、国税庁によると、単に「印」と表示したり、斜線を引いたりしただけでは、消印したことにはならないとされている。また、鉛筆のように簡単に消去できるもので署名しても消印をしたことにはならない。

ちなみに消印しなかった場合は、罰則の適用がある(印紙税法第20条3項、第23条1号)。

印紙税法 第8条第2項

課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。

印紙税法基本通達 第65条

令第5条《印紙を消す方法》に規定する「印章」には、通常印判といわれるもののほか、氏名、名称等を表示した日付印、役職名、名称等を表示した印を含むものとする。

印紙税法施行令 第5条

課税文書の作成者は、法第8条第2項の規定により印紙を消す場合には、自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない。

印紙税法 第20条第3項

第8条第1項の規定により印紙税を納付すべき課税文書の作成者が同条第2項の規定により印紙を消さなかった場合には、当該印紙税の納税地の所轄税務署長は、当該課税文書の作成者から、当該消されていない印紙の額面金額に相当する金額の過怠税を徴収する。

印紙税法 第23条第1号

次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
①第8条第2項の規定に違反した者

 
 

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