隣接空き家への対応
- 2016/11/4
- 2019/5/15
隣地の空き家迷惑
【相談内容】
隣地に所在する建物は空き家となっており、その所有者は遠方に居住しています。
庭には大きな樹木が植えてありますが管理がされておらず、枝木が塀を超えて伸びており、毎年秋になると大量の落ち葉が私の住宅の屋根に落ち、雨樋が詰まってしまいます。
相手に連絡しているのですが管理をしてもらえません。
とても困っているのですが、どうすればよいですか。
隣の空き家
民法233条を根拠とする枝の切除と、不法行為による損害賠償請求を求めることが考えられます。
また、今後は自治体に対して特措法の規定に基づく情報提供や助言の対応を求めることが考えられます。
妨害排除請求と損害賠償請求
隣地の樹木の枝が越境し、落ち葉等により自己の建物の樋が詰まるなど、具体的な損害が発生している場合は、自己所有地の利用の妨害として妨害排除請求を求めることができる。
この場合、樹木の所有者(隣地所有者)に対し、枝木の切除を求めることができるが(民法233条1項)、相談者自らが切除をすることはできない。
そこで樹木の所有者の費用負担による枝木の切除を裁判等で求めることになる。
なお、妨害排除請求の訴額は、占有権に基づく物の引渡(明渡)請求権に関する訴額を準用し、権利侵害を受けている土地の範囲の価格(土地を目的とする訴訟については当分の間、固定資産評価額の2分の1に軽減)の3分の1である。
ご相談のケースにおいては、不法行為による損害賠償請求権を行使することも考えられるが、落ち葉等による被害が受忍限度を超えていなければ認められない点に注意が必要である。
なお、隣接所有者と今後も良好な関係を希望する場合は、できるだけ話し合いを継続し、やむを得ないと判断された場合に調停や裁判で解決を求めることがよいであろう。
空家特措法による対応
これまで、相隣関係に自治体が介入することは困難であったが、空家特措法施行により、自治体による空家等の所有者等に対する情報提供や助言等が可能となった。
空家特措法上、空家等の所有者等は自ら周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努める義務がある(空家特措法3条)。
また、市町村は空家等の所有者等による空家等の管理を促進するため、空家等の所有者等に対し、情報提供、助言その他必要な援助を行うよう努める責務がある(空家特措法12条)。
そこで上記の妨害排除請求を行う前に、空家特措法に基づき、自治体から空家等の所有者等への個別の接触を通して、適宜の除草、立木竹の伐採、枝打ち等のアドバイスや、空家等の管理する専門家の情報提供を行うことを求めることが考えられる。
なお、この空き家が特定空家等に該当すると思料されるときには、自治体に対し、特定空家等の可能性がある旨の情報提供を行い、自治体において特定空家等と認定されれば、具体的な箇所を示して改善を促す助言又は指導の措置が行われることとなる。
この場合、自治体から指導の結果については報告を受けられると思われるが、個人情報(所有者情報等)については提供を受けられないと考える。
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