空き家の所有者が行方不明
- 2016/11/4
- 2019/9/17
空き家所有者が行方不明
亡父名義の老朽化した空き家について、行政から、「近隣から苦情がでているので適正に管理して欲しい」との指導を受けました。 今後、この空き家を利用する予定がありませんので、敷地も含め売却したいと考えていますが、相続人の中に行方不明の者がいます。 どうすればよいでしょうか。 |
財産管理人と失踪宣告
行方不明者である相続人の財産について、不在者財産管理人の選任や失踪宣告を求めることが考えられます。
不在者財産管理人の選任と空き家処分
家庭裁判所は、従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合、不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため、不在者の配偶者や相続人、債権者等の利害関係人の申立てにより、不在者財産管理人を選任する。
不在者財産管理人は、不在者の財産の保存行為や管理行為を行う。
ご相談のケースで予定される遺産分割協議や空き家の売却等の処分行為を不在者財産管理人が行う場合は、あらかじめ家庭裁判所の権限外行為の許可審判を得る必要がある。
権限外行為許可
不在者財産管理人が家庭裁判所の権限外行為の許可審判を得て遺産分割協議を行う場合、不在者の法定相続分相当の財産を特定の相続人が承継し、不在者が帰来した後に請求があった場合に当該法定相続分相当額の金員を支払う旨のいわゆる帰来時弁済方式による合意がなされる場合がある。
(この帰来時弁済方式は、遺産が多額の場合は採用されないことがある。また、そもそもこの方法を採用しない家事審判官もいるようである)
ご相談のケースでは、選任された不在者財産管理人が遺産分割協議及び空き家等の売却を行うことで、空き家等の問題は解決される。
しかし、遺産分割協議が上述の帰来時弁済の方法に依らない場合、不在者財産管理人は、不在者が帰来するまで、不在者の財産を保存・管理し続けなければならないこともあり得る。
失踪宣告
不在者の所在が長期間判明しない場合に対しては、失踪宣告の制度がある。
不在者の生死が7年間明らかでないとき等の場合には、不在者財産管理人は利害関係人として、失踪宣告の申立ての検討も必要になる。
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