将来の住宅の不安(空き家対策)
- 2016/11/4
- 2019/9/17
将来の住居の管理・処分
私は現在50代で、母所有の木造一軒家に母と同居しています。 私は独身であり、現在の住居を終の棲家としたいのですが、高齢となった時に、現在と同様に管理し住み続けることに不安があります。 今後、快適に心配事がなく自分の家に住み続けるにはどのような方法があるでしょうか。 |
住宅の管理と処分の事前対策(空き家対策)
以下のケースで分けて検討しましょう。
・お母さまによる住宅の管理と、お母さまが亡くなった場合の対応
・相談者様による住宅の管理と、相談者様が亡くなった場合の対応
母自身による管理
母が存命中は原則として母が管理責任を負う。
母が今後高齢になり自ら管理することが困難になった場合は同居している相談者が事実上母に代わって管理をすることはできるが、母の判断能力が衰えている場合(認知症を発症してしまった場合など)は、相談者が対応できないケースも出てくる。
例えば、住宅の修理、増築工事の契約等事実上の管理者では対応できないこともある。
この場合、相談者が母の成年後見人に就任して管理を継続しなければならないこともある。
相談者による管理と予防
成年後見制度、任意後見制度の利用
相談者が住宅を相続し住み続けたとしても、本人が高齢になった際には自ら住宅を管理することが困難になることもある。
この場合は、相談者のための成年後見人を選任するという方法がある。
しかし、相談者自身が家庭裁判所に申し立てることができない場合は、申し立てることができる者が法定されており、成年後見(法定後見)申立てが速やかに行えないことも想定される。
そのような場合に備えて、任意後見制度を利用することも有効である。
任意後見制度を利用する場合、あらかじめ任意後見契約書を作成しておき、信頼できる人に任意後見人となってもらうよう手配をしておく。
後見開始の申立をすることができる者(保佐、補助を含む)
・本人・配偶者・4親等内の親族、検察官等(民法第7条)
・任意後見受任者(任意後見契約に関する法律第10条2項)
・市町村長(老人福祉法第32条、知的障害者福祉法第28条、精神保健及
び精神障害者福祉に関する法律第51条の11の2)
相談者による処分
相談者が、将来的に老人ホームなどの施設に入居することも検討しておく必要がある。
相談者が施設に入所した場合は、住宅は空き家となる。
仮に、相談者に代わり管理をする者(成年後見人等)がいたとしても、木造住宅は時の経過とともに朽廃するので、維持管理費が相当な額になる場合もある。
例えば、相談者の判断能力が衰える前に、住宅の流通価値が高いうちに処分をし、管理コストのかからない現金管理の方法も含めて検討することも考えにいれておくとよい。
リバースモーゲージ
収入が低い場合や、所有する資産が少ない場合などは、将来的な老後の生活費を捻出するために、リバースモーゲージを利用する方法もある。
リバースモーゲージとは
住宅(及びその敷地)を担保に、老後の生活資金を借り入れる制度。
原則として借主の死亡時に返済をする。
現金で返済できない場合は、担保権の実行による競売によって返済することとなる。自治体や都道府県社会福祉協議会が生活保護の一環として貸し付けるものと、金融機関が商品の1つとして貸し付けるものがある。
自治体又は金融機関によって貸し付けの条件が異なる。住宅(及びその敷地)が将来において流通可能であることが前提となるため、住宅の所在地によっては利用が難しい場合もある。
将来の相続への備え
母の相続について
母が死亡した場合、相続人が相談者のみである場合は、そのまま住宅に住み続けることに問題はないが、その後の住宅の維持管理に関する手続等をスムーズに行うためにも、不動産の相続登記をしておくべきである。
相談者以外にも相続人がいる場合は、他の相続人と遺産分割協議をすることが必要となるが、遺産分割協議が難航することが予想される場合は、母が遺言書を残しておくことが欠かせない。
なお、その場合は、母の遺言能力がなくなる前に遺言をすることに注意が必要である。
相談者の相続について
相談者に兄弟姉妹がいる場合は、相談者の死亡により兄弟姉妹が住宅を相続することとなるが、兄弟姉妹間の遺産分割協議が難航することが予測される場合、または、特定の兄弟姉妹に相続をさせたい場合は、遺言を残す必要がある。
ただし、流通価値がさほど高くない不動産についてはその維持管理が負担となることから相続放棄をすることも十分考えられる。
相談者に相続人がいない場合、あるいは兄弟姉妹等の相続人全員が相続放棄をすることが予想される場合は、相続財産管理人を選任する制度は用意されているが、もはや相談者の意思を反映することはできないし、相談者の資産状況によってはその制度を利用することが困難な場合もある。
したがって、財産を承継させたい者がいれば遺言を残し、第三者に遺贈するあるいは特定の団体に寄付をするという方法を検討してもよいかもしれない。
なお、いずれの場合においても、承継者に管理コストを負担させないよう、上記で記載したように、住宅の流通価値が高いうちに相談者による処分・売却をすることを検討することも考えるとよいかもしれません。
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