借地の空き家と地主
- 2016/11/4
- 2019/6/5
借地上の空き家の管理
【相談内容】
土地を貸していますが、土地上の建物が空き家になっており、建物を所有している借地人が管理をしないため窓ガラスが割れて飛散しており、近隣住民から地主である私に苦情が寄せられています。
賃料の滞納があり、借地人の連絡先も分かりません。行政から管理状態の問い合わせも受けました。
行政にお願いすれば、建物の解体までしてくれるのでしょうか。
空き家と地主
空家特措法が施行され、市区町村から空き家の所有者等に対して適正管理が促され、また、特定空家等と判断されれば、助言・指導を経て勧告、命令、代執行の措置が行われることがあります。
ただし、当該措置は建物の一部のみを対象とすることがあるため、必ずしも除却の代執行が行われるわけではありません。このため、空き家全体の解決には地主自身で未払い賃料請求や建物収去土地明渡請求を行う必要があります。
空家特措法に基づく行政対応
これまでは、地主としては、空き家の適正管理を求め、未払い賃料の請求、場合によっては契約解除及び建物収去土地明け渡し請求をするために、自ら近隣の住民への聞き取り、賃料請求等を理由とした戸籍・住民票の第三者請求等により、空き家の所有者やその相続人を把握する必要があった。
空家特措法の施行により、市区町村が空き家の所有者及びその所在の調査を行い、また、当該所有者への指導等を実効的に行うこと、特定空家等に対する強制措置を行うことが可能となった。
空き家の所有者の所在や連絡先が不明な場合でも、市区町村の調査により明らかとなり、市区町村による指導の結果、適正管理がなされることもありうる。
なお、この場合においても、市区町村による所有者調査等の情報が第三者に開示されることはない(ご相談のケースにおいて、地主は利害関係人となるが、同様である。)。
空き家に対する措置
空家特措法上の空家等とは、建物とその敷地のことである。
したがって、土地所有者である地主は、借地上の建物に対する権原はなく建物の取り壊しや修繕をすることはできないが、空家特措法上は指導・勧告の対象者となる。
また、当該空き家が空家特措法上の特定空家等と判断されたとしても、その対象が屋根のみであったり、景観を著しく損なっているとの判断である場合、空家特措法上の措置としては、建物全体の除却まではなされることはない。
ただし、このような場合であっても、空家特措法上の勧告まで至ると固定資産税の住宅特例の適用がなくなり税額の負担が増加することとなる。
未払い賃料請求、建物収去土地明渡請求
以上のとおり、空家特措法による措置には限界があり、借地関係を根本的に解決するには、自らが未払い賃料請求、建物収去土地明渡請求などの法的手続きを踏む必要がある。
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