本人確認情報と前住所通知(事前通知)

本人確認情報と登記名義人住所変更登記

権利証をなくした場合に、本人確認情報を提供して登記申請をするケースで、
所有権に関する登記申請で登記義務者の住所について変更登記がされているとき
(登記名義人住所変更登記を連件申請する場合も含む)

本人確認情報の内容に、
「不動産登記法第23条第2項に関する確認」項目を記載

【例】
日時 平成27年6月1日
場所 名古屋市緑区鳴海1丁目○○番地
確認内容 登記記録上の登記義務者の住所地を訪ねたが、表札は別人である○○の表札がかかっており、居住者に確認したところ、登記義務者は平成27年2月頃に転居し、上記住所地には居住していないとの回答を得た。

前住所への通知が送られる場合と例外

所有権に関する登記申請で、登記義務者の住所について変更登記がされているとき

【原則】前住所通知をしなければならない

【例外】以下の場合は前住所通知を省略できる

  1. 行政区画・名称変更の場合
  2. 住所変更登記の受付日から3ヶ月経過している場合
  3. 登記義務者が法人の場合
  4. 本人確認情報を提供するケースで、申請人が登記義務者であることが確実であると認められる場合

本人確認情報と前住所通知のまとめ

本人確認情報で所有権の登記を申請するケースで、登記義務者の住所変更登記がされている場合は、原則として前住所通知がされる。
ただし、本人確認情報の内容により、申請人が登記義務者であることが確実と認められる場合は、前住所通知を省略することができるので、前住所に関する内容も記載する(必須ではない)。
なお、住所変更登記から3ヶ月以上経過している場合など、上記例外に該当する場合も前住所通知を省略することができるので、その場合は記載不要。

本人確認情報作成のポイント

本人確認情報に記載する物件は、権利証がない物件のみを記載する。
ex.3筆のうち1筆だけ権利証がない場合は、その1筆だけを記載する

本人確認情報の書類 1号書類→免許証 など 2号→保険証・年金手帳 など
本人確認情報作成にあたっての確認書類(添付書類)は、本人確認情報の添付書類ページをご覧ください。

本人確認情報の免許証等の住所が異なる場合、現住所までのつながりがわかる書類が別途必要

3か月以内に住所変更登記がされている場合、原則前住所通知が送られる。(返送不要、意義申し立てがなければそのまま審査は通ることとなる)
前住所通知を避けるためには、実際、前住所地に司法書士が出向き住んでいないことを確認調査した上で、本人確認情報に記載することが必要

本人限定郵便は、基本型。受取人に通知書を送付し、郵便窓口で受け取り。
写真付き1点または写真なし2点。

本人確認情報の面識ありは、3ヶ月以上前に本人確認情報を作成した場合 又は 継続的取引関係がある場合のことを言う。

法人の本人確認情報作成で、代表取締役2名の場合、印鑑登録していない代表取締役の面談をする場合は、別途業務権限証明書も必要となる。

登記済証(権利証)と保証書

権利書がない場合、所有権移転以外の登記であれば前に登記した際の保証書で代用可能

登記識別情報を提供しなければならない所有権に関する登記「以外」の権利に関する登記を申請する場合において,登記識別情報(新法附則7条の規定により登記識別情報とみなされる登記済証を含む)を提出することができないときにつき,新法附則7条の趣旨から,登記義務者の権利に関する登記識別情報に代えて,この登記済保証書を提出する取扱いは,便宜,これを認める(登記研究695号)。

なお、不動産登記の先例については、以下の書籍が定評があります。

司法書士試験によく出る先例不動産登記法第8版 [ 早稲田司法書士セミナー ]

司法書士試験対策用の先例集テキストになりますが、不動産登記の重要先例が掲載されており、司法書士試験合格後も使用する方が多いようです。

本人確認情報と司法書士の職印証明書

本人確認情報を作成する際には、担当する司法書士が面談をしたうえで、本人確認情報に面談した日時・場所、面談内容等を記載し、司法書士の職印を押印して、職印証明書を添付する必要があります。
司法書士の職印証明書は、各県の司法書士会で発行しているため、司法書士会へ請求します。
愛知県司法書士会へ職印証明書を請求する場合は、事前に電話した上で、職印証明請求書をFAXして、受け取りに行くか郵送で送ってもらう段取りをします。
なお、司法書士法人が本人確認情報を作成する場合は、本人の面談を担当した司法書士の職印証明書と、司法書士法人の実印(代表社印)の印鑑証明書を用意します。そして、担当司法書士が司法書士法人所属の司法書士である旨を記載した書面に、司法書士法人の実印を押印する形になります。

参考条文

不動産登記法第23条

(事前通知等)
第二十三条  登記官は、申請人が前条に規定する申請をする場合において、同条ただし書の規定により登記識別情報を提供することができないときは、法務省令で定める方法により、同条に規定する登記義務者に対し、当該申請があった旨及び当該申請の内容が真実であると思料するときは法務省令で定める期間内に法務省令で定めるところによりその旨の申出をすべき旨を通知しなければならない。
この場合において、登記官は、当該期間内にあっては、当該申出がない限り、当該申請に係る登記をすることができない。
2  登記官は、前項の登記の申請が所有権に関するものである場合において、同項の登記義務者の住所について変更の登記がされているときは、法務省令で定める場合を除き、同項の申請に基づいて登記をする前に、法務省令で定める方法により、同項の規定による通知のほか、当該登記義務者の登記記録上の前の住所にあてて、当該申請があった旨を通知しなければならない
3  前二項の規定は、登記官が第二十五条(第十号を除く。)の規定により申請を却下すべき場合には、適用しない。
4  第一項の規定は、同項に規定する場合において、次の各号のいずれかに掲げるときは、適用しない。
一  当該申請が登記の申請の代理を業とすることができる代理人によってされた場合であって、登記官が当該代理人から法務省令で定めるところにより当該申請人が第一項の登記義務者であることを確認するために必要な情報の提供を受け、かつ、その内容を相当と認めるとき。
二  当該申請に係る申請情報(委任による代理人によって申請する場合にあっては、その権限を証する情報)を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録について、公証人(公証人法 (明治四十一年法律第五十三号)第八条 の規定により公証人の職務を行う法務事務官を含む。)から当該申請人が第一項の登記義務者であることを確認するために必要な認証がされ、かつ、登記官がその内容を相当と認めるとき。

不動産登記規則第71条

(前の住所地への通知)
第七十一条  法第二十三条第二項 の通知は、転送を要しない郵便物として書面を送付する方法又はこれに準ずる方法により送付するものとする。
2  法第二十三条第二項 の法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一  法第二十三条第二項 の登記義務者の住所についての変更の登記(更正の登記を含む。以下この項において同じ。)の登記原因が、行政区画若しくはその名称又は字若しくはその名称についての変更又は錯誤若しくは遺漏である場合
二  法第二十三条第二項 の登記の申請の日が、同項 の登記義務者の住所についてされた最後の変更の登記の申請に係る受付の日から三月を経過している場合
三  法第二十三条第二項 の登記義務者が法人である場合
四  前三号に掲げる場合のほか、次条第一項に規定する本人確認情報の提供があった場合において、当該本人確認情報の内容により申請人が登記義務者であることが確実であると認められる場合

不動産登記規則第72条

(資格者代理人による本人確認情報の提供)
第七十二条  法第二十三条第四項第一号 の規定により登記官が資格者代理人から提供を受ける申請人が申請の権限を有する登記名義人であることを確認するために必要な情報(以下「本人確認情報」という。)は、次に掲げる事項を明らかにするものでなければならない。
一  資格者代理人(資格者代理人が法人である場合にあっては、当該申請において当該法人を代表する者をいう。以下この条において同じ。)が申請人(申請人が法人である場合にあっては、代表者又はこれに代わるべき者。以下この条において同じ。)と面談した日時、場所及びその状況
二  資格者代理人が申請人の氏名を知り、かつ、当該申請人と面識があるときは、当該申請人の氏名を知り、かつ、当該申請人と面識がある旨及びその面識が生じた経緯
三  資格者代理人が申請人の氏名を知らず、又は当該申請人と面識がないときは、申請の権限を有する登記名義人であることを確認するために当該申請人から提示を受けた次項各号に掲げる書類の内容及び当該申請人が申請の権限を有する登記名義人であると認めた理由
2  前項第三号に規定する場合において、資格者代理人が申請人について確認をするときは、次に掲げる方法のいずれかにより行うものとする。ただし、第一号及び第二号に掲げる書類及び有効期間又は有効期限のある第三号に掲げる書類にあっては、資格者代理人が提示を受ける日において有効なものに限る。

1号書類 写真付きの本人確認書類

1号の本人確認書類は、顔写真付きのものが要求され、それだけで証明力が強いため、いずれか1つの提示を求めることで足りると規定されています。

一  運転免許証(道路交通法 (昭和三十五年法律第百五号)第九十二条第一項 に規定する運転免許証をいう。)、個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 (平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項 に規定する個人番号カードをいう。)、旅券等(出入国管理及び難民認定法 (昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号 に規定する旅券及び同条第六号 に規定する乗員手帳をいう。ただし、当該申請人の氏名及び生年月日の記載があるものに限る。)、在留カード(同法第十九条の三 に規定する在留カードをいう。)、特別永住者証明書(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法 (平成三年法律第七十一号)第七条 に規定する特別永住者証明書をいう。)又は運転経歴証明書(道路交通法第百四条の四 に規定する運転経歴証明書をいう。)のうちいずれか一以上の提示を求める方法

2号書類 写真なしの本人確認書類

2号の本人確認書類は、写真なしの書類です。
いずれか二つ以上の提示が必要となります。

二  国民健康保険、健康保険、船員保険、後期高齢者医療若しくは介護保険の被保険者証、健康保険日雇特例被保険者手帳、国家公務員共済組合若しくは地方公務員共済組合の組合員証、私立学校教職員共済制度の加入者証、国民年金手帳(国民年金法 (昭和三十四年法律第百四十一号)第十三条第一項 に規定する国民年金手帳をいう。)、児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書、母子健康手帳、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳又は戦傷病者手帳であって、当該申請人の氏名、住所及び生年月日の記載があるもののうちいずれか二以上の提示を求める方法

3号書類 その他の本人確認書類

3号の本人確認書類としては、上記の2号書類のうちの一つ以上プラス、官公庁から発行された書類(またはそれに準ずる書類)というものです。

三  前号に掲げる書類のうちいずれか一以上及び官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに準ずるものであって、当該申請人の氏名、住所及び生年月日の記載があるもののうちいずれか一以上の提示を求める方法
3  資格者代理人が本人確認情報を提供するときは、当該資格者代理人が登記の申請の代理を業とすることができる者であることを証する情報を併せて提供しなければならない。

 

よく見られているページ

相続の手続き     相続不動産売却プラン

遺言書作成     過払い金と債務整理
 

司法書士法人ひびきグループへのお問い合わせ
相続のこと、家族信託のこと、債務整理のこと…
ご不明な点やお困りのことがございましたら、お電話またはメールでお気軽にご相談ください。手続きの費用のこと、どのくらい日数がかかるのかなど、どんなことでもかまいません。○○のことで相談したい、というだけでも結構です。
お問い合わせいただいたご相談につきましては、親身に、丁寧にご対応させていただきますので、遠慮せずになんでも聞いてください。相談無料、土日祝日・夜間も営業しております。
お問い合わせ、お待ちしております。

相談専用ダイヤル☎ 052-890-5415


(年中無休 朝9時〜夜8時 ※土日・夜間はご予約をお願いいたします)

 

 

この情報をシェアする

権利証を紛失した場合(本人確認情報)

司法書士法人ひびきグループ|名古屋市緑区・天白区の相続・家族信託・債務整理

メールのお問い合わせ電話のお問い合わせ