一人遺産分割協議の登記申請手続き

一人での遺産分割協議の可否

数次相続が発生して、最終の相続人が単独になった場合、ひとり遺産分割(単独遺産分割)による協議書を添付して、一件で登記申請をすることができるかという問題で、司法書士業界では話題になっています。
この問題については、平成26年に東京高裁で判決が出ており、登記実務にも影響を与えています。

東京高裁での判決内容

平成26年の東京高等裁判所での判決要旨は、以下のとおりです。

事件番号・事件名

東京高等裁判所 平成26年(行コ)116号 処分取消等請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所平成25年(行ウ)第372号)

概要

亡Aとその妻の亡Bの唯一の子である控訴人が,
亡A及び亡Bの死亡に伴い,亡Aが所有していた本件各不動産について,
本件遺産処分決定書を登記原因証明情報として,亡Aの相続を原因とする本件各共有持分全部移転登記の申請(本件各登記申請)をしたところ,
処分行政庁から,不登法61条所定の登記原因証明情報の提供がないとして,不登法25条9号に基づき,本件各登記申請を却下する旨の処分(本件各処分)を受けたため,
処分行政庁の所属する国に対し,本件各処分の取消しを求めている事案

判示事項

被相続人甲の遺産について、
遺産分割未了のまま他の相続人が死亡したから当該遺産全部を直接相続した旨を記載した遺産分割決定書と題する書面
を添付してされた当該遺産に属する不動産に係る相続を原因とする所有権移転登記申請に対し,
登記官が登記原因証明情報の提供がないとしてした却下決定が,適法とされた。

裁判要旨

被相続人甲の相続人が乙及び丙の2人であり,被相続人甲の死亡に伴う第1次相続について遺産分割未了のまま乙が死亡し,乙の死亡に伴う第2次相続における相続人が丙のみである場合において,
丙が被相続人甲の遺産全部を直接相続した旨を記載した遺産分割決定書と題する書面を添付してした当該遺産に属する不動産に係る第1次相続を原因とする所有権移転登記申請については,
被相続人甲の遺産は,
第1次相続の開始時において,丙及び乙に遺産共有の状態で帰属し,
その後,第2次相続の開始時において,その全てが丙に帰属したというべきであり,
上記遺産分割決定書によって丙が被相続人甲の遺産全部を直接相続したことを形式的に審査し得るものではないから,
登記官が登記原因証明情報の提供がないとして不動産登記法25条9号に基づき上記申請を却下した決定は,適法である。

最終の相続人が一人の場合の登記申請

結論として、他に相続人がおらず、唯一の相続人となる場合は、遺産共有状態がないということになり、数次で法定相続登記を申請するという扱いになります。

本件の場合は、
①甲→乙・丙の法定相続登記(所有権移転登記)
②乙→丙への法定相続登記(乙持分全部移転登記)

というように、2段階での法定相続登記が必要となります。

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