相続不動産の売却手続き
- 2015/5/25
- 2019/4/26
相続した不動産を売却するか保有するか
亡くなった方が住んでいた自宅の土地建物や、所有していた駐車場、田・畑、マンションなど、不動産を相続で取得するケース。
不動産を相続した場合、そのまま保有するか・売却するか、今後のライフプランを考えて、決断することになるでしょう。
被相続人と一緒に同居していたような場合は、そのまま住み続けることができますが、結婚をして家を出ていたり、他の土地でマイホームを購入して建てていたり、今後使う予定がない…ということも多くあります。
仮に使わないとしても、不動産の場合、管理が必要です。
土地をそのまま放置しておいたら、雑草が生い茂って、近隣の住民から苦情が出ます。
建物は、人が住んでいたほうが長持ちするため、住まずに置いておくと傷んでしまいます。
また、年月が経つにつれて、相続不動産の評価価値もどんどん落ちていきます。
社会情勢としては、空き家に対する風当たりも厳しくなってきており、今後は、空き家の固定資産税が高くなることも予想されます。
先祖代々の土地だからこそ、その土地に住みたい・有効に使いたいという人に引き継いでいくということも大事です。
相続税の支払いや、子ども・孫など次の世代のための資金として使っていくということも良いと思います。
今後のことをよく考え、無理をして保有・放置するよりは、不動産の売却を考えることも選択肢に入れてみるとよいかもしれません。
まずやること:相続登記
相続不動産を売却するためには、まず相続登記(不動産の名義変更)が必要です。
登記簿上、亡くなった被相続人の名義になっている不動産を、相続人の所有名義に変更するのです。
相続登記のためには、役所で戸籍等の必要書類を集めて相続人調査をした上で、遺産分割協議書を作成して、法務局に登記申請を行います。
この相続登記は、相続人全員の名義にすることもできますし、遺産分割協議で相続人1人の名義にすることもできます。
相続登記の時期
相続登記は、できるだけ早いタイミングで手続きをすることをおすすめします。
相続登記には期限がないため、売却が決まった段階ですればいいか、とそのまま放置される方がいらっしゃいます。
ところが、実際に話が進んで相続登記をするということになっても、戸籍などの必要書類を集めるのに膨大な時間がかかったり、遺産分割協議がまとまらなかったり、相続人が亡くなって次の相続人が増えてきたりすることもあります(二次相続)。
また、相続人の一人が勝手に不動産を売却してしまうというリスクも出てくることになります(法定相続分については売却が有効)。
相続登記の時期については、相続登記の詳細ページもご覧ください。
相続登記の注意点
相続人が複数いる場合でも、「法定相続分」の登記であれば、相続人の1人から相続登記申請することができます(保存行為)。
しかし、この方法はあまりおすすめできません。
なぜなら、申請した相続人以外の方については、登記識別情報(権利証)が発行されないためです。
たとえば、相続人が妻と長男・次男の場合
この場合は、妻が2分の1、長男が4分の1、次男が4分の1の割合の法定相続分となります。
そこで、妻のみが申請人となって、この法定相続分割合での相続登記申請をすることができます。
ただ、注意してほしいのは、登記識別情報(権利証)が発行されるのは、
申請人となった妻だけ ということです。
長男・次男については、登記識別情報は発行されません。
登記識別情報が発行されていなくても、相続不動産の売却は可能ですが、
別途費用が必要となってしまいます。
(本人確認情報作成費用:1人につき5~10万円程度が相場)
そのため、法定相続分で登記をする場合でも、全員が法定相続分での申請人となるか、
遺産分割協議をして、取得する相続人だけが申請人となるほうがよいでしょう。
遺産分割については、以下の方法があります。
遺産分割協議の方法:現物分割・換価分割・代償分割
遺産分割には、3つの方法があります。
相続財産の額や種類によって、使い分ける必要があるでしょう。
現物分割
一般的・オーソドックスな遺産分割方法です。
自宅の土地建物は妻、マンションは長男、預貯金は次男、というように、財産ごとに取得する相続人を決めます。
換価分割
相続財産を売却・金銭に換価して、それを共同相続人で分配する方法です。
たとえば、相続財産が実家の土地建物しかなく、他に大きな財産もないような場合に、相続不動産を売却して、それを相続人で分ける方法です。
代償分割
相続人の一部が相続する代わりに、他の相続人に対して代価を払う方法です。
たとえば、長男が実家の土地建物を相続する代わりに、他の相続人に1000万円ずつ支払うという方法です。
相続不動産売却する場合の分割方法
相続不動産売却の手続きを進めていくためには、換価分割の方法がスムーズでしょう。
具体的な内容については、換価分割・代償分割の文例をご覧ください。
不動産売却の手続きを行う前提として、共同相続人名義で共有の相続登記を行い、相続した不動産を売却したあとに、それぞれの名義で売却代金を分配します。
場合によっては、相続の代表者を一名決めて、手続きを代表して行うという場合もありますが、贈与税がかかってくるかどうかという点に留意する必要があります。
相続不動産売却の流れ
上記の流れをまとめると、
1.相続不動産の売却の決定
2.相続人調査(戸籍等の必要書類を収集)
3.遺産分割協議(不動産売却のための相続人決定)
4.相続登記
5.不動産売却準備(不動産業者)
6.売却・所有権移転登記
7.売却代金を分配
となります。
司法書士にお任せいただければ、上記2~4の面倒な手続きを代行することができます。
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