遺言書の比較|公正証書遺言と自筆証書遺言のメリット・デメリット
- 2016/6/5
- 2023/2/17
遺言書のメリットとデメリット
遺言書は、一般的には、公証役場で作成する遺言公正証書と、自分で作成する自筆遺言証書があります。
どちらも一長一短ありますが、主な違いとメリット・デメリットは以下のとおりです。
公正証書遺言のメリット
法律上有効な遺言書を作成することができる
公正証書遺言は、公証役場で公証人のチェックも入るため、法律的に有効に成立する遺言書を残すことができます。
自筆証書遺言の場合、間違った形式で遺言書を作られる方も大変多く、無効になるケースがよくあります。
その点、公正証書の場合は、法律上、形式的に問題のない遺言書を作成することができます。
偽造・紛失が防止できる
公正証書遺言の場合、公証役場で作成し、公証役場に公正証書遺言の原本が保管されます。
遺言公正証書の保存期間は、公証役場によって実務上いろいろな基準があるようですが、遺言者が120歳になるまで保存するという取り扱いをしている公証役場が多いように感じます。
最近は、長生きされる方も増えてきており、遺言者が亡くなったときに、遺言書が保管されていないと意味ありませんよね。
公正証書のメリットは、原本が公証役場にあるので、偽造されるおそれがありません。
また、どこかになくしてしまうというような紛失のリスクもありません。
遺言は、推定相続人にとって、とても大きな意味を持つ書類のため、公証役場でしっかり安全に保管されているということは、大きなメリットの一つです。
検認が不要になる
公正証書遺言は、遺言者が死亡した後の検認手続きがいりません。
自筆証書遺言の場合は、遺言者が死亡したら、戸籍などの書類をそろえて、家庭裁判所で検認の手続きが必要になります。
遺言公正証書の場合は、作成段階で公証人が厳格な手続きを踏んで、間違いのない書類を作成するため、検認が要らず、相続手続きをスムーズに進めることができ、相続人の方の手間も減らすことができます。
公正証書遺言のデメリット
作成の手間と費用がかかる
公正証書遺言のデメリットは、遺言書を作成する手間や費用がかかるという点です。
公正証書遺言を作成するためには、公証役場に行って、推定相続人や利害関係人ではない証人を用意して、公証人手数料も準備して・・・というように、手間と時間がかかります。
厳格な手続きなだけに、思い立ったらすぐに作る、というわけにはいきません。
秘密にできない
公正証書遺言のデメリットとして、完全に秘密で遺言書を作ることができないということが挙げられます。
公正証書遺言を作成するには、公証人と証人2名がかかわる必要があるため、ほかの誰にも知られずに遺言所を作成したいという場合は、遺言公正証書ではできません。
自筆証書遺言のメリット
すぐに作成できる
自筆証書遺言のメリットは、なんといってもすぐに作成することができることです。
手元にペンと紙と印鑑があれば、その場ですぐに書いて完成させることができます。
秘密にできる
自筆洋書遺言の場合は、誰も関与せずに遺言が完成するため、自分が亡くなるその日まで、誰にも遺言書の内容を秘密にしておくことができます。
自筆証書遺言のデメリット
無効になる恐れがある
遺言自筆証書のデメリットは、無効になるリスクが非常に高いという点です。
遺言者が亡くなり、自筆証書遺言をお持ちいただくケースがありますが、遺言書が有効に成立しているというケースは、残念ながら非常に少ないです。
遺言は、厳格な法律行為であるため、手続きや要式についても、細かく決められています。
日付や署名だけでなく、すべての文章を自筆で書くとか、日付に吉日と書いてはならない、押印がないといけない、訂正は法律で定められた形式で訂正変更しなければならない・・・など、要件にあてはまらないと、効力が失われてしまいます。※法改正により、一部をパソコン等で作成することが認められるようになりましたので、ご相談ください。
遺言書の花押は無効
遺言書の押印については、花押(かおう)では印と認められないという最高裁判所の判例が出ました。
花押とは、毛筆で記す印のことで、かつての武将などが使用していたものであるとのことです。
これは、署名としての効力は有するものの、押印とはいえず、自筆証書遺言で法律上定められている「押印」にあたらないため、遺言書自体が無効になってしまうという、非常に厳しいものです。
そのくらい、自筆証書遺言の形式・要式は厳格に解されるため、少しのの間違いも許されないと考えておくべきでしょう。
改ざん・紛失の恐れがある
自筆証書の場合、自分で遺言を作成して、自宅などに保管しておくため、改ざん・偽造の恐れが常につきまといます。
自分に不利な相続人が見つけてしまった場合は、破棄されてしまう可能性も考えられます。
また、紛失してしまうと、せっかく遺言書を作成したのに、肝心のときには見つからないという、本末転倒な事態に陥ってしまうことも考えられます。
検認が必要
自筆証書遺言は、遺言者の死亡後に、家庭裁判所での検認が必要です。
戸籍謄本などを集めて、裁判所での手続きが必要になるため、実際に遺言をもとにした手続きを行うまでの時間や手間がかかります。
※法改正により、保管制度が始まりましたのでご相談ください。
公正証書遺言のほうが安心
公正証書と自筆証書遺言を比較すると、やはり公正証書で遺言書を作成しておいたほうが、安心です。
時間に余裕があるのであれば、まずは公正証書遺言を検討するとよいでしょう。
公正証書で作成せずに、自筆証書遺言で作成したいという場合でも、最低でも司法書士や行政書士などの専門家のチェックを受けて、法律上間違いのないものを作成するようにしてください。
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