相続放棄の事例(3ヶ月経過後の相続放棄)
- 2015/4/25
- 2019/4/5
3ヶ月経過後の相続放棄
相続放棄の期間
相続放棄は、自分が相続人になるということを知ってから3ヶ月以内にしなければなりません。
法律では、3か月以内に、相続するのかしないのか決めなさい、ということになっています。
また、仮に3ヶ月以内に何も決めなかった場合は、相続をしたということになる、という規定があります(法定単純承認)。
つまり、相続する場合は何もせずとも自動的に相続しますが、相続を放棄したいという場合は、
3か月以内に決めて、3ヶ月以内に手続きをしなければならないのです。
3ヵ月後に借金の催促がきた・・・
よくある事例としては、3ヶ月経過してから、サラ金・貸金業者から借金の催促がきた、という事例です。
貸金業者も、この法律のことはよく知っていて、あえて3ヶ月経ってから借金の督促をしてくるというケースもあるかもしれません。
この場合、もう相続放棄をすることはできないのでしょうか?
3ヶ月経過後の相続放棄が認められるケース
3ヶ月経過していたら、もう一切相続放棄が認められないということはありません。
期間経過後でも、相続放棄をできる場合があります。
それは、自分が相続人であることは知っていても、「相続財産がないと信じていた」場合で、
そう信じていたことについて「相当な理由がある」という場合です。
ポイントは、「相当な理由」として、どういう特別の事情があったのか、どういう状況だったのかということです。
こういう事情があったから相続放棄をしなかった、ということを、誰が見ても納得できる形で書面にして、裁判所に提出します。
借金の督促に対して支払った場合
相続放棄の注意点としては、実はもうひとつあります。
相続放棄ができなくなるケースとして、3ヶ月経過することのほかに、
「相続財産を処分した」場合も、相続放棄ができなくなります。
そして、借金の督促に対して、相続財産の中から支払いをした場合は、相続財産の処分にあたり、
相続放棄ができなくなる可能性が高いです。
借金の催促の電話がきても、あわてて支払いをせず、まずは専門家に相談しましょう。
また、身内の方が亡くなられた場合は、借金・負債などの通知書が届いていないか、よく確認することをおすすめします。
参考条文・判例
■民法
第915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)
1.相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2.相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
第921条(法定単純承認)
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
1.相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条 に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
2.相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
3.相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
■相続放棄の熟慮期間に関する判決
最高裁昭和59年4月27日判決
熟慮期間は、原則として、相続人が前記の各事実を知った時から起算すべきものであるが、相続人において相続開始の原因となる事実及びこれにより自己が法律上相続人となつた事実を知った時から3か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったのが、相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、このように信ずるについて相当な理由がある場合には、民法915条1項所定の期間は、相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算するのが相当である。
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