担保権実行競売時の相続登記(代位登記)
相続登記が未了の土地・建物について、担保権実行としての競売申し立てをする際、相続登記(相続による所有権移転登記)をする必要があります。
この場合、民法423条の債権者代位権により、代位して不動産登記申請をすることになります。
相続人調査
相続登記の前提として、戸籍謄本を取得して、相続人調査をし、該当の相続人を確定します。
また、被相続人(不動産の登記名義人)が死亡した日から3ヶ月を経過した後に、家庭裁判所に、被相続人についての相続放棄申述がされていないかの照会も必要です。
これは、3ヶ月の相続承認・放棄期間中の相続人の相続放棄の有無を確認するためのものです。
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して照会をかけます。
そして、被相続人の配偶者、子、場合によっては直系尊属や兄弟姉妹の有無・生死を確認して、相続人を確定する必要があります。
代位相続登記の手続き
代位相続登記の必要書類
□担保不動産競売の申立てに必要な書類
→管轄の裁判所に確認
□相続人に関する書類
・ 相続人の確定に要する戸籍謄本
・ 各相続人の住民票or戸籍附票
・ 相続関係説明図
・ 相続放棄がされている場合→相続放棄申述受理証明書
・ 相続放棄がされていない場合→相続放棄申述なきことの証明書
□申請書関係
・ 競売申立受理証明申請書
・ 上申書(相続登記が完了後に不動産登記事項証明書を提出するという内容のもの)
・ 封筒(競売申立受理証明書・相続に関する書類等の送付用/簡易書留分の切手貼付)
代位相続登記の流れ
(1)申立債権者は,相続人を所有者と表示した担保不動産競売申立書を作成し,競売申立てを申請
(2)裁判所は,担保不動産競売申立書の審査後,競売申立受理証明書を交付
(相続に関する書類と固定資産税評価証明書は還付される)
(3)申立債権者は,法務局に代位による相続登記申請
→競売申立受理証明書が代位原因証書となる
(4)申立債権者は,相続登記完了後,以下の書類を裁判所に提出
・不動産登記事項証明書(登記簿謄本)
・相続に関する書類
・固定資産評価証明書
(5)裁判所が担保不動産競売開始決定
そのあとの手続きは、通常の担保不動産競売と同じ流れになります。
なお、相続人が相続放棄をした場合には、当事者の更正手続きが必要になる場合もあります。
裁判所によって、手続きが異なる場合があるため、管轄の裁判所に確認しながら進めてください。